【VG10 マクロ撮影】で検索があった。ようやくNEX-VG10が当初考えていた用途で本領を発揮し始めた。 1970年代初めに作られたベローズニッコール105mmF4をベローズユニットPB-4を介してNEX-VG10に取り付けている。3群4枚構成の135mmよりも1枚多い3群5枚構成の105mmは光学性能が向上し、かつ適度なワーキングディスタンスを得ることが出来て使いやすい。イメージサークルも十分大きくてPB-4のアオリ限界まで傾けてもケラレは無い。 ベローズニッコールだから然近接から無限までピントが合うのは当たり前だが、PB-4のアオリ方向が通常の位置の場合に左右のスイングとシフトしかないために自由雲台を用いて90度傾けてヴィンテンに乗せている。そうしなければチルト方向のアオリやライズ&フォールが使えない。ただしこの場合はレンズの光軸がヴィンテンのパン軸から大きくオフセットするためパン操作に違和感がある。このことの改善策は最後に記載しているので参考にしていただきたい。 アオリを必要としないマクロ撮影ではベローズよりも手軽なヘリコイド式のフォーカシングユニットを使用する。フォーカシングユニットといってもケンコーのマクロテレプラスから光学系を外して、ケラレの原因となる内部の鏡筒を除去しただけの簡単なものだ。しかしこのユニットを用いることで引き伸ばしや製版に使うエルニッコールやアポニッコールなどがエクステンションチューブを併用して手軽に使用できるようになる。写真はエルニッコール135mm F5.6にL39(ライカスクリューマウント)→Nikon F変換アダプター〜フォーカシングユニット〜Nikon M2リング(マイクロニッコール用等倍チューブ)〜Nikon F→NEXアダプター〜NEX-VG10となっていて、このままで無限迄撮影できる。そして至近距離を近づけるためにはKリングなどのチューブを追加する。 NEX-VG10でワーキングディスタンスを稼げるレンズ群。左からアポニッコール240mm F9、拡大撮影用のNikon 5x F2.6 Ophthalmology lens、EL Nikkor 150mm F5.6、製版用のHEXANON GR 150mm F9で、いずれもNikon Fマウントになっている。右の小型ベローズに付いているレンズはスクリューマウントのペンタックス(私はペンタックスS2とSPを愛用していた)用のベローズタクマー100mm F4でベローズはFUJICAのSTシリーズ用ベローズユニット。これはM42→NEX変換アダプターでVG10に取り付けている。 ベローズタクマーとFUJICAベローズをNEX-VG10に取り付けた状態。ニコンのベローズに比べると極めてコンパクトに出来ている。これでも無限から10cm程度のマクロ撮影が可能だ。VG10のモニターに写っている映像は指輪の実写だが、このベローズとしてはまだ余裕がある。十分なマクロ性能をお分かりいただけると思う。 より大きなマクロ撮影が必要な場合はこれらのレンズを使用する。 左からOlympus OM System ZUIKO MC MACRO 1:3.5 f=38mm RMS→NIKON-F Mount、EL Nikkor 105mm F5.6、EL Nikkor 50mm F2.8N、EL Nikkor 80mm F5.6、EL Nikkor 50mm F2.8、Fijinon EX 105mm F5.6。 紹介したものはいずれも35mm一眼レフ用としては特殊なレンズになるが、もちろんマイクロニッコール類は多用する。特に55mmは新しいF2.8よりもMicro NIKKOR Auto 55mm F3.5はヘリコイドと絞りが連動していて実絞りビューのVG10とは相性がいい。このレンズは開放測光を行うニコンのTTL一眼レフでは誤動作するためにMicro NIKKOR P-Auto 55mm F3.5からは連動機構が廃止されてしまった。また新しいものではAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDや70-180mmのズームマクロレンズも使用する。 この写真はベローズユニットPB-4を90度傾けるために用意したステンレス製のアングル。厚さが4mmもあり、非常に頑丈に出来ている。 まだ加工作業は行っていないが、完成すればこういう感じになる。雲台の回転軸の真上にベローズの中心が来ることでパンの違和感は無くなるだろう。 NEX-VG10は一般向けのハンディーカムに比べると、高倍率でもなければズームサーボも無い。また手ぶれ補正も回転方向が無い旧タイプということで、コンシューマーモデルとしてはかなり中途半端なカメラだとは思う。しかしショートフランジバックのNEXマウントのおかげで非常に汎用性の高いカメラだと思う。私の会社に限っての話だが、NEX-VG10はマクロなどの特殊用途として益々活躍の場を増やすことになるだろうし、現在製作が進んでいるミニレール&ミニクレーンでもNEX-VG10の小型軽量高画質によって新たな用途が広がるものと考える。もちろんこういったものを作るのは来年上半期に発売が予告されたNEXマウントのスーパー35mm撮像素子を搭載したNXCAMに的を絞ってのことである。 追記:最新のベローズPB-4 L型のステンレスの加工を開始しようと思い立ったところであるものの存在に気づいた。VR写真を撮る時に使ったパノラマヘッド。これを使えば簡単にスイング→チルトの変換が可能になり、パノラマヘッド自体も無改造でできる。 結果は下の写真。 このことについては12月2日のフィールドレポートに詳しく記載している。
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