アナログ地上波が停波し、東北地方の一部を除いて全てハイビジョン化したことで私の会社でも旧機を廃棄することにした。ベーターカム、DVCAM、DVCPROの編集機や録画機、パナソニックのSDシステムカメラや池上のデジタルプロセスカメラ、さらに中継用のスイッチャーやDVE数台、そしてコピー用のVTR十数台や測定器など。 全て稼動できるものだが、ハイビジョン時代には場所をとるだけである。売却しても二束三文で値段を聞くと悲しくなるのでまとめて廃棄業者にお願いした。 色々片付けているとこんな物が出てきた。 1970年代後半に発売されたワンポイントステレオマイクECM990Fである。当時はカセットデンスケなどを使った生録ブームだった。 BEのロゴが示すようにバックエレクトリックコンデンサーマイクを搭載し、ロータリースイッチによって集音角度を90度/120度/150度/180度と4段階に切り替えることが出来る。ファントムには対応せず単三乾電池1本で駆動する。出力は不平衡の標準プラグでLRが出る。 メインに使っていたダイナミックマイクのF115に比べると吹かれには弱く、屋外ではタオルやウールで包まなければならず、もっぱら屋内使用に限定された。 いたずら半分にローランドのデジタルレコーダーで録音してみたが、まさか30年を経過したマイクとは思えない音がした。廃棄される運命から急遽反転して吹かれ対策を施す。例のフェイクファーを用いたウインドジャマーの製作だ。いつものように男の裁縫箱が活躍する。籠ジャマーの時に余ったフェイクファーなどを使ったので「家庭科の時間」の手間だけで出来た。 ECM990Fに合わせて裁断したフェイクファーを袋状に縫って綴じ紐をトうせるようにした。約1時間の作業。出来上がったワンポイントマイクジャマーがこれ。↓ クーラーの噴出し口で吹かれをみたが良好に抑えられている。音質も大きな劣化はないようだ。 早速自宅前の植え込みでセミの鳴き声を録音。R44で録ったWAVファイルをMP3に変換しただけのファイルをアップしてみた。遠くでヒグラシの声も聴こえる。 http://svs.ne.jp/ecm990.mp3 http://svs.ne.jp/ecm990-2.mp3 テレビカメラやVTRはフォーマットが変われば一気に価値が低下し、挙句の果ては廃棄の運命になる。しかしマイクロフォンはかなり長く使うことが出来る。それはフィルムカメラやレンズに似ている。 色々なSEが手軽に録れることはとても有難い。しばらくはECM990とR44の可愛いセットにはまりそうだ。 ECM990Fの英語版マニュアル
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