2006年04月10日(月)
HDVの今後
 HDVの今後というキーワードだ。
 日本ビクターから始まったハイビジョンフォーマットのHDVだが、今はソニーやキヤノンもハイビジョンカムコーダーを展開している。特にソニーでは家庭用ハイビジョンから業務用まで展開している。当初発売されたHDR-FX1は業務用に発展しHVR-Z1Jとして進化した。これは私の会社でも大変気に入って使用しているキャメラだ。その後CMOSを使ったHDR-HC1が「身近になったハイビジョン」というキャッチフレーズで発売された。これもすぐに業務用のHVR-A1Jに発展した。そして現在家庭用は今「手のひらサイズのハイビジョン」としてHDR-HC3になった。
 さて、今後のHDVだがどうなるのだろうか。かってベーターで大きな痛手を負ったソニー(実際には放送用ベーターカムに発展し、今なおそのフォーマットはハイビジョンのHDCAMまで引き継がれている)は再び8ミリビデオのテープを使用するデジタルエイトで痛手を負った。ただしデジタルエイトでは普及率も低かったために大きな痛手ではなかった。かなり昔だが、オーディオカセットを大きくし、オープンリールテープを収めたエルカセット(ELカセット)を日立、TEACなどとともに発売したが、今では幻のフォーマットとなってしまった。
 様々なフォーマットを世に送り出したソニーだがDVは違った。松下もビクターも、シャープもDVでは皆共通している。家電メーカーが万人に共通のフォーマットを提供することは素晴らしいことだ。DVカセットを使ったハイビジョンフォーマットのHDVはまさに科学技術の財産と言えるだろう。AudioCD然り、DVD-Video然りである。要は互換性である。
 最近ソニーでは光磁気ディスクを使用したXDCAMやXDCAM HDをすでに発売し、価格もHDCAMに比べると半額以下ということで大きな注目を集めている。今後の展開いかにというところだが、現状ではHDVが万人共通のフォーマットという地位を築いている。DVフォーマットにおいて松下はminiDVのSDみであり、HDはP2メディアということになる。確かに優れた記録メディアだが、半導体メモリーということでコストがかかる。また業務用テープメディアは蒸着テープを使ったDVやDVCAMとは異なり、塗布式のDVCPROになる。DVと同じ25MbpsのDVCPRO 25の他に放送用として4:2:2サンプリングで50MbpsのDVCPRO-50や100MbpsハイビジョンのDVCPRO HDは独自のフォーマットだ。実際にはオリンピックなどでも使用されているが、やはりソニーのベーター系は大きな壁になっている。最近は松下もソニーと操作性をそろえることでキャメラマンには歓迎されるようになった。しかし問題はアーカイブスとの互換性ということだろう。放送局やプロダクションにはベーターカムで撮影された膨大な映像資産がある。ソニーのHDCAM VTRはハイビジョンのHDCAMだけではなく、BETACAMテープを使ったアナログベーカム、デジタルベーカム、ベーターカムSX等をすべて同じHDCAM VTRで再生できるという強みがある。
 同様のことがHDVで起こっている。HDV方式の新しい業務用VTRが発売されるが、この新製品はHDVのみならず、DVやDVCAMのラージカセットまで再生できる。もちろんHDVのラージカセットも再生可能だ。互換性が重視されたことで業界への浸透はスムーズにゆくだろう。こういうことを考えれば「HDVの今後」ということでは大きな不安はない。
 今後いかにHDVを万人共通のメディアにするかは、どういったメディアにHD映像を残すかということだ。HD-DVDが先日発売されたが、ブルーレイ陣営がその後を追うように発売を予告した。フォーマットの2極化は決してユーザーに好都合とはいえない。出来れば同じフォーマット上で技術を競ってもらいたいとは思う。しかしこれまでの放送用VTRの進化を考えると、異なったフォーマットが存在しても技術的には大きな進歩が期待できる。そして競った結果優れたものがだけが残ることになるだろう。

2006年4月10日 | 記事へ | コメント(0) |
| 映像制作・撮影技術 / NEX・HDV・HDCAM |
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