2008年04月29日(火)
京都の竹林

 京都へロケハンに行ってきた。探しているものは「美しい竹林」である。なかなかイメージ通りの竹林が見つからない。
 後継者不足で筍堀りを止めた竹林は直ぐに竹が密生し、あっという間に痩せた竹でボウボウになってしまう。毎年生える筍から親にする竹を残し、それ以外はどんどんと掘って、いわば間引き、間伐をする必要がある。そうしなければ竹薮は野生に戻ってしまうのだ。さらにいい筍を収穫するには表土の補充、肥料の補給も必要だ。また、ある時期に竹の先を止めなければ、雪や風雨で竹が倒れたり、曲がったりしてしまうのだ。
 私の亡父は大阪で優秀な筍農家だった。もう50年近く昔のことだ。筍が黒くならないように表土を補填し、また筍堀りを終え、田植えも終えた頃には下肥(人糞)を竹薮の最上部まで運んでは「花の応援団」の「青田赤道」のように眼下の斜面に撒いていた。下品だが化学肥料に頼らない有機栽培の原点である。
 私の故郷の竹薮、特に父が大切にしていた藪は粘土質で覆われていて根節(ネブシ)⇒竹の根茎が地中の深いところを通っていて、そこから生える筍はが日焼けが無く、実も柔らかくアクもわずかだ。これは筍の本場京都山城産よりも高価に取引されたそうだ。ただし地下50センチ当たりから生えた筍を無傷に掘るにはそれなりの技術が必要だ。その技術を私が伝授されたのは小学校高学年だったが、私が中学校の頃にはその竹薮は万博公園の日本庭園になってしまった。
 昔話はさておいて、美しい竹林を維持するにはけっこうな手間が必要だということは解っていただけただろうか。ところが今は後継者不足のため、美しかった竹林がどんどんとボウボウの荒れ藪に変わっていっている。余談だが、京都山城広域振興局では「竹林について考えます」ということで美しい竹林の復元に取り組んでいる。掘り立ての筍を報酬に筍堀りや藪からの搬出の労働力を一般から募ればよいのかもしれない。もちろん「親竹にする、掘ってはいけない筍」には目印を付けなければならない。

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| 自然環境・自然科学 |
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