2007年10月04日(木)
宇宙線 メモリ 破壊
 「宇宙線 メモリ 破壊」で検索があった。
 映像制作に核物理など全く関係ないと思っていたが、今ではそうとも言えない。確かに撮影では加速器などもあるが、それはあくまで被写体のことであった。それが今、自分たちが使用する機器に核物理が係わって来ているのである。とは言っても、これはあくまでハードウエアメーカーにとっての話であり、撮影技術とは異なる。
 宇宙線 メモリ 破壊でヒットしていたのはXDCAM EXのPMW-EX1について書いたページだ。そこではメモリーカードにおける宇宙線の影響によるデータ消失等の不安を書いている。宇宙線の及ぼすメモリーへの影響はIT用語辞典では下記のように説明されている。
ソフトエラー
電子機器中のメモリチップなどが何らかの原因で誤動作する現象のこと。回路に致命的なダメージを与える「ハードエラー」と違って一時的なものであり、すぐに故障の原因となるわけではない。
 ソフトエラーにはいくつかの原因が考えられているが、地上まで到達する二次宇宙線が大きな原因である。地上まで到達する宇宙線のうち、電荷を持つα線などはメモリセルに衝突した際にメモリセルに蓄えられた電荷量の値を乱してしまうためにメモリエラーの原因となる。また、電荷を持たない中性子線などはメモリのシリコン基板に衝突した際に基板原子を破壊してしまい、その際のエネルギーにより発生したイオンに由来するメモリエラーの原因となる。

とても解りやすく書かれている。
 物理に興味が無い人でも原子核乾板という言葉を聞かれたことはあると思うが、ガラスやアクリル板の上にゼラチンに溶かしたハロゲン化銀の乳剤を分厚く塗ったものだ。乳剤の中を高エネルギーの荷電粒子(宇宙線)が通過すると、乳剤中の電離作用によって銀粒子に依る飛跡が記録(感光)される。これを現像して解析することでエネルギーや素粒子の質量を計算することが出来る。私は専門家ではないので、この程度しか知らないが、名古屋大学理学研究科・基本粒子研究室のサイトでは原子核乾板写真集を見ることが出来る。

↑上の写真は研究室から拝借したもの
 もしかするとサイトにある写真のような現象がメモリーやCPUの内部で頻繁に起こっていて、それを補正できなかった時にメモリーエラー(ソフトエラー)が生じてしまうのかもしれない。宇宙線によるソフトエラーの発生確率は、高度に依存する。海面高度よりも標高の高い山岳地帯の方が、宇宙線によるソフトエラーの発生確率が高い。ということだが、確かに宇宙線の研究は地上を飛び交う低エネルギーの素粒子の影響を避け、地下深くにある鉱山のトンネル等で行われている。地球を突き抜けて行くほどの高いエネルギーを持った素粒子が宇宙線である。

 映像制作には関係ないような核物理だが、コンピューター、デジカメ、ビデオキャメラ、携帯電話等、我々の身の回りには宇宙線の影響をうけかねないハイテク機器がゴロゴロしている。そして宇宙線はハイテク機器だけではなく、生物(動植物)の突然変異にも影響することが知られている。

2007年10月4日 | 記事へ | コメント(0) |
| 技術系・ハイテク系 |
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