2007年12月02日(日)
リーズナブルなメーカー「アツデン」が作るENGミキサー
 私のブログを「リーズナブル」で検索すると3件が抽出される。
 最近人気が出てきたメーカーにAZDENという音響機器メーカーがある。沿革によると1952年8月16日に佐藤孝平によって日本圧電気株式会社が設立され、資本金50万円、本社工場は杉並区天沼ということだ。私が生まれる2年前である。さらに創業者の佐藤孝平氏は1961年に「発明考案功績により東京都知事賞受賞 当社提供のラジオ報道番組『目撃者の記録』がラジオ放送コンクールにおいて最優秀賞を受賞」の後、1969年には「佐藤孝平社長、紫綬褒章受賞(ロッシエル塩圧電素子に関する一連の発明による功績) 輸出貢献企業として通産省より表彰 磁気ヘッド開発完成」というまさに技術会社である。
 当時から日本圧電の製品はリーズナブルで、私が無線従事者として衛星通信やSSTVに取り組んでいた時期(1970〜80年頃)に様々な製品に助けられた記憶がある。その日本圧電が再び私の会社にとって有用な製品を出してきた。ENG用のワイヤレスマイクとENG取材で使用する小型音声ミキサーである。ワイヤレスマイクは松下や池上の一体型カムコーダーに内蔵できるA/B帯カバーのものでも税込み131,250円という設定だ。またVマウントに取り付け可能なB帯専用では税込み109,200円と破格である。送信機とセットで購入しても約15万円ほどだ。普段私の会社で使用している松下のRAMSAは送受セットで約100万である。いかにAZDENの製品が安いかがわかるだろう。
 そして今最も注目しているのがENGミキサーだ。
 製品名はFMX-42である。オープン価格ということだがシステムファイブでは\129,885(税込) となっている。

 現在私の会社が使っているシグマのSS-302(3in2out)が約30万ほどしたが、その性能と機能、信頼性はさすがに放送業界のスタンダードにふさわしいものだ。また新製品のKS-342は税別48万もするが、
 ◇MSマイク収録に対応。エンコーダーを搭載し、モニター用デコーダーも装備。
 ◇AES/EBUデジタル出力装備。20ビット分解能。各サンプリング周波数に対応。
 ◇各チャンネルフェーダーを通らない「ダイレクトアウト」が可能。etc.
と流石に内容が充実している。以前にこのブログで書いたように高価なものには高価な理由と意味がある。
「放送用の音声ミキサーは高い。もっと安くならないのか?と思う。しかしその回路構成や小型ボディーに凝縮された機能、そして出荷台数を考えると当然かもしれない。製造メーカーは製品の販売コストに製造コストだけではなく、サービスコスト、開発コストも含まなければならないのである。放送用キャメラ、レンズ、三脚なども同様に民生モデルとはかけ離れたコストがかかっている。それらは全て高性能、高信頼性、高耐久性のためなのである。そして映像のデジタル化が進むとことで音声ミキサーもAES/EBUのデジタル音声出力が必要になってきた。」

 比べること自体ナンセンスな話だが、アツデンのミキサーは低価格である。確かにデザインという点ではFMX-42がお世辞にも他社よりも優れているとはいえないと思うが、シンプルな操作性はSHUREのミキサーSound Devices社のミキサーに通ずるところがあり好感が持てる。またSHUREのミキサーを設計したタムラのミキサーのシンプルさにも通じるところがある。ちなみにシステムファイブの購入者のレビューでは「数日前に御社にて購入し、チェックしたところ完璧です!!この価格でこれだけの機能が満載で有難いです。はっきりいって音質面も含めてシグマやプロテックの4chミキサーと同等以上の製品です。リミッターの効きもいいし、付属品のソフトケースも使いやすく不満がなかったです。」ということだ。
 いかにしてAZDENが販売台数も限られるENGミキサーをこれほどまでに安い価格で提供できるかは判らないが、これが技術会社が生み出すリーズナブルな価格なのであろう。もちろん入出力ともバランスで、各入力には独立してファントム電源を供給できることは当然である。
 ちなみに私の僅かな電子回路の設計経験から見ると、アナログ音声回路では回路設計の技術だけではなく、基板のデザインや仕様部品、回路の引き回し、誘電防止など、様々な経験が高SN比を生み出し、それがダイナミックレンジに反映する。この低価格な4CHミキサーが本当にリーズナブルな価格の製品かどうか、休み明けにもデモをお願いしてみたいと思う。アツデンのポータブルミキサーが納得できる価格である以上に、納得できる性能かどうかを検証しなければならない。もちろんフィールド用ミキサーとしての堅牢性、操作性も同様だ。
 明日は12/4〜5に開催される「ビジネスマッチング博」で行う中継の仕込みだ。現場に持ち込むミキサーはTAMURA TS-4000Sだ。そしてワイヤレスマイクはRAMSAである。
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 追記:デモをお願いしたところ快く貸し出していただける事になった。今週はは中継やvロケの現場があるので無理だが、来週中にはファーストインプレッションを書けるだろう。
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 アツデンのミキサーが到着した。インプレッションは未だだが、とりあえず外観のみフォトアルバムにアップした。(2007.12.5)

 このミキサーについては「ビデオアルファ2007/11月号」の新製品レビューで「アツデン4chポータブルフィールドミクサーFMX-42」として高木 創さんがレビューを書かれている。

2007年12月2日 | 記事へ | コメント(0) |
| 音声・録音・音響 / NEX・HDV・HDCAM / 映像制作・撮影技術 |
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