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2008年04月08日(火)
メーカーのサイトに弊社制作のビデオがアップされていた
 先月制作したローランドの新製品であるR-44ビデオがアップされていた。
 撮影は2月末でデリカに冬タイヤを履いての長野ロケである。この時に同時制作したHD-SDI⇒HDVコンバーターのVC-300HDビデオもアップされている。
 このビデオのナレーション録りの様子はこのブログにもアップしている。
 今度また新製品のビデオを作る事が決まったが、ローランドという会社は我々技術屋が望むものを次々に具現化してくれる素晴らしい企業だと思う。VC-300HDはビデオ制作を受注するよりも以前に使用し、その素晴らしさは承知していたが、まさかそのビデオを作らせていただけるとは思いもしなかった。
 Field Reportの2007/7/19の記事で紹介している。自分が気に入った製品のプロモーションを作ることが出来たことは技術会社にとって最高の喜びである。
VC-300HDについて補足しておこう。
このコンバーターは単にHD-SDIをHDVに変換するだけではない。左の図(VC-300HD)のように、既存のフォーマットが自由自在に変換出来、さらにアップコンバート、ダウンコンバートの際のスケーリングも可能だ。そしてVer.2になって24p、23.98p、25p、30p、60pなどのフレームレートに対応した。また4点式ガンマ補正機能が追加され、映像の諧調調整も出来る。至れり尽せりのバージョンアップである。
 また、このVer.2での追加機能はすでにVC200HD/300HDのVer.1を購入済みのユーザーにも有償ではあるがアップグレードとして提供されている。企業の品質保証にたいする姿勢が嬉しい。内部処理はVer.1もHDCAM-SRと同じ4:4:4で高画質だが、Ver.2ではプロセッシングを強化し、アルゴリズムの最適化によりアップコンバート、ダウンコンバート、クロスコンバートの画質が向上している。
 映像機器に限らず、普段使用しているコンピューターもOSやアプリケーションのアップデート、アップグレードによって最新機能が追加されて第一線で活躍できる。ソフトウエアで制御されるデジタル機器ならではのバージョンアップである。
 我々人間もデジタル機器のように常にバージョンアップして新しいものに対応していくわけで、昭和29年生まれの私は今年でVer.54である。しかし昭和29年製のCPUの処理能力はどうだろうか。一応複数のタスクを処理する能力と、並列処理にも対応するマルチコアであることは自負しているが、どうも最近メモリーのエラーが出るようだ。ここらでメモリーを・・・・そんなことが出来て嬉しいのは私ではなく、周りのスタッフだろう。最新式のメモリーが欲しいこの頃である。
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2008年04月06日(日)
春の上高地
 打ち合わせがスムーズに終わり、そのVPで使用する素材を「せっかく長野に来たのだから撮って帰ろう」ということになった。もちろん登山の準備など一切用意していない。ホエブスやコールマンといったストーブはおろか、雨具さえ準備していないのだ。靴は私が安全靴で他のスタッフはスニーカー。普通の人はこの時点で上高地などへは行かない。
 まず天候の判断。天気図や気象衛星の情報では絶対好天である。気温もほぼ氷点下。日帰りなら雨具は不要。雪が解けて靴が濡れる不安も少ない。防寒ということでは夜の松本を歩く程度のコートは所持している。それと一応ザックは車に積んでいた。これならコンビニで食料さえ調達すれば何とかなるだろうと、お気楽パーティーは出発した。

 車をターミナルに置いて釜トンネルを目指す。昔のトンネルは閉鎖され、一応近代化されたトンネルは「雪ん子」の歌さえ口ずさまなければ何の不安も無く大正池まで行ける。しかし以前のトンネルとは違い、一度入れば出口まで景色は見えない。もしかしたらこのトンネルにこそ「釜小僧」が居るかもしれない」と思ったりする。

 以前(2005年頃)は覆道付近からは写真のように梓川を見ることも出来たが、今は工事用のダンプカーの轟音に恐怖しなければならない。私が始めて上高地に来た30年ほど前は春の連休と秋の土日を除けば一般車も通行でき、自家用車で河童橋まで行くことが出来た。しかし自然保護の目的で今は通年一般車は通行不可だ。もちろんバイクも不可。バスやタクシーも4月後半から11月半ばまでしか通っていない。つまりGWまでは歩くしか無い。

 20分ほど歩くと出口に達する。新鮮な空気が嬉しい。そしてこのトンネルを抜けると春夏秋冬を問わず、別世界が待ち受けているのだ。

 トンネルを出ると風景は一気に冬。まだまだ雪がいっぱいだ。ちなみに私たちのパーティーが釜トンネルを通ったのは4月5日である。おもわず4日でなくて良かったと思う。

 トンネルを出てすぐに見える焼岳を撮影。大正の大噴火で泥流が梓川をせき止めて大正池が出来たことは有名。昭和37年には中尾峠の焼岳小屋を破壊したそうだ。その後登山規制されていた。私が北アルプスによく通った頃はまだ登山禁止だったが平成3年にこれが解除になっている。今は2455mの頂上(南峰)は立入禁止だが2393m(北峰)のピークまではOKということだ。今度は是非登ってみたい。

 道草をしたが目的の上高地を目指す。大正池までは工事用の車両がひっきりなしに通るので轢かれないように注意しなければならない。幸いこの現場の運転手さんたちには歩行者優先が徹底されているらしく、泥はねにも気を遣いながらゆっくりとすれ違ってくれた。

 今回の撮影機材はハイビジョンのHVR-Z1Jとビンテンのビジョン3、そしてセンチュリーのワイコンとフィルターが数枚。もしこれがHDCAMだったらこんなお気楽ロケは絶対出来ない。

 大正池ホテル(閉鎖中)を過ぎると重機が除雪作業をしていた。今年の上高地公園線開通は2008年4月24日ということだから、まもなく一般客でごった返すことになる。ウエストンが見た静かな上高地を楽しむなら今しかないだろう。

 除雪されていない道も堅雪になっていて芦峅やスノーシューも不要だ。もちろんラッセルの必要も無い。お気楽春山登山にはもってこいのコンディションである。スニーカーで来た木原も何の不安も無く春山を満喫している。ただし山はいつもこんなに優しい表情ではないことを認識しなければならない。若い頃から北アルプスを庭のように歩き、幾度もの単独行で山の辛酸を味わってきた私が「今日なら大丈夫」と判断した日だからここまで来れただけである。


 これが今回の撮影機材。ビンテンは手提げ部分をショルダーにして背中に背負って歩いた。もしビンテンのバッグを車に積んでいなければ背負うことは出来なかった。ということは三脚無しのロケは無意味となり中止だ。この青いバッグがあったからこそ出来た上高地ロケである。汗をかかないように上着を着たり、脱いだりしながら雪道を進んで目標の河童橋を目指す。着替えがないので、こまめな防寒調節は大切だ。

 我々を迎えてくれた河童橋。シーズンにはまず見ることが出来ない無人の釣り橋は明神様に良く似合う。

 早速河童橋の上からパノラマを撮影。誰も渡ってこないので揺れは皆無。シーズンに橋の上で三脚を使えば揺ればもちろんだが、観光客にも迷惑をかけることになる。今が一番いいときである。

 河童橋から望む穂高連峰だ。画像をクリックすると大きなサイズで開く。

 梓川の河原に下りて撮影。川の水は限りなく清らかだ。

 今回の日帰りロケで回したテープは約50分。まあまあの収穫である。最後は河童橋と穂高を入れて記念写真。いかにも軽装であることが顰蹙を買いそうだが、私の観天望気に免じて許していただきたい。重ねて言うが、GW前の上高地はまだまだ冬である。もしこのブログを読んで「行ってみたい」と思った方は十分な装備、服装、食料をもって出かけていただきたい。

 来たからには帰らねばならない。現場用のマグライトは常時携行しているが、雪洞など掘って楽しんでいては明日の仕事に穴が開く。日のあるうちに釜トンを抜けなければならない。と大正池ホテル付近まで戻ったところで風が凪いできた。もしかすると穂高が水面に映りそうな予感。

 すこしだけ下山を遅らせて、大正池でしばらく休憩。ただしじっと待っていると手がかじかんで来る。やはり上高地はまだ冬の続きなのだ。

 これがこの日のラストシーンだ。同じくクリックすれば大きな画像が開く。気楽に、というか無謀極まりない春の上高地ハイキングだったが、山の女神は我々に優しかった。今回収録した素材は次に作るVPのイメージ映像で使用する予定だ。つまりは今回のお気楽ハイクは遊びではない。無謀なようだが、私的には緻密に計算した結果であり、真剣勝負だった。それに対して女神が微笑んでくれただけである。あらためて女神とスタッフに感謝している。
(※写真は2005年のアーカイブを除いて全て制作技術部の木原が撮影したものである)
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2008年04月01日(火)
HVR-Z7J
 知り合いがHVR-Z7Jを買った。

 なかなかいい風貌をしていた。一通り触ってみての印象はちょっとNGである。ズームが機械式マニュアル操作になったのは良いが、粘りが全く無い。これでは思い通りの手動ズームが出来ない。素早いズームはこれまでのZ1Jとは違い、一瞬で寄り引きできるが、滑らかなスローズームは不可能だ。電気を使えば良いといわれるかも知れないが、電動ズームをカメラマンは望まない。サーボコントロールを使うカメラマンもたまに見かけるが、一般撮影でズームリモコン(※ステディーカムやクレーンではズームリモコンは必須)を使う人の殆どはアマチュアか駆け出しのカメラマン、もしくは国営放送のカメラマンくらいである。Z7Jが完全マニュアルズームということであれば、設計段階で粘りに拘ってもらいたかった。マニュアルズームの操作性については改善すべき項目であることは否めない。

 もうひとつ気になる点があった。それはABのショットトランジションである。Z1Jではオートトランジションのイーズイン、イーズアウトが設定できた。「HVR-Z1Jに搭載されていたショットトランジションが、さらに進化。」とういうことだが、Z7Jではトランジションのメニューの何処にもトランジションカーブ(リニア/ソフトストップ/ソフトトランジション)の設定が見当たらない。
 ゆっくりと動き出して最後はゆっくりと停止する。これはスローズームの基本である。今日手にしたZ7Jは唐突に動き出して唐突に停止する。もしかすると何処かのメニューにトランジションカーブの設定があるのだろうか。この点については無責任なことは言えないのでソニーに問い合わせて結果を報告したい。
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 昨日の件をソニーに問い合わせた結果報告である。
結果は「ソフトトランジションは割愛されている」そうだ。下の図はXDCAM EXの解説だが、これは民生器のFX1や業務用のZ1Jと同様の機能で、図のようにズームやフォーカスがスタート時にゆっくりと加速し、停止時にもゆっくりと減速して停まる。

 この機能がZ7Jで割愛された理由は「判らない」ということだが、もしかするとレンズ交換式になったことが要因なのかもしれない。いずれにせよ、マニュアルズームが軽すぎることと、ショットトランジションのカーブ設定が無いことが私にとってZ7Jを選択肢から外す大きな理由になることは確かだ。同時にここにきて再びXDCAM EXに食指が動き始めたことも確かだ。特にXDCAM EXにHDRを搭載して長時間記録を可能に出来ることを考えれば益々XDCAM EXの魅力が一層増してくる。
 ソニーの担当者は「トランジションとズームの粘りについては技術に報告しておきます」ということだが、はたしてそれが反映されるのかどうかは判らない。また、ズームを電動モードにした状態でリングを手動で回すことはメカに悪影響があるということで「お薦め出来かねます」という回答だった。
 後日、システムファイブからもショットトランジションについての資料が届いたが、やはりソフトトランジション等の項目は無かった。そしてここ最近、このブログのアクセスログにSONYの非公開IPを持ったサーバーからのアクセスが50件以上ログされている。もしかすると何らかの進展が期待出来るかもしれない。

2009.1.5追記
HVR-Z7Jの購入も検討してきたが、幸いにも友人の他レンタル会社にも数機導入されたため私の会社ではHVR−Z5Jを12月に導入した。それはZ7Jを否定するものではなく、Z7Jの魅力はなんと言っても機械式マニュアルズームである。一瞬で思ったサイズに画角を決めることが出来る点だ。Z5Jには絶対まねは出来ない。しかし20倍を備えたZ5JのまねもZ7Jには難しい。つまり使い分けが必要である。ちなみにZ7Jの1日のレンタルは1万〜1万5千円。必要に応じてレンタルで足りるのである。
下記にZ5J関連記事をアップしているのでご覧いただくと幸いである。

http://blog.zaq.ne.jp/senri/article/796/
http://blog.zaq.ne.jp/senri/article/801/
http://svs.ne.jp/hibi/058.html
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2007年12月30日(日)
ビンテン Vision3
 「ビンテン Vision3」だった。
 今HDVやDVのハンドヘルドカムコーダー用のキャメラサポートとしてVision3は素晴らしいと思う。他社製品と比べて何処がどう違うのかは・・・だが、Vision3ならキャメラが思うように振れるのだ。ただし、カウンターバランスの調整はマンフロット505と同じくスプリング交換式のため、現場でレンズを交換したときやワイコンを取り付けたときに完全バランスを取ることは出来ない。また総重量が5kg以上のカムコーダーの場合は75mmΦのワンでは頼りないし、ドラグを強くしした時は必要以上に締め付けなければワンが滑ってしまう。やはりDSR-450クラスの2/3吋DVCAM一体型では100mmΦのVision10や11の方が使い易い。また構造的にもVision10クラスが耐久性に優れている。やはりVision3は3kg程度のハンドヘルドクラスに向いているといえるだろう。
 先日私の知り合いがマンフロットの#519新品をシステムファイブのオークションで購入した。519と525のセットで8万円ほどだったそうで大変お買い得である。実はこの519が優れている。カウンターバランスは連続調整出来、さらにスプリングが強弱の2種が供給されていてそれを交換することで1〜9kgのキャメラをカバーできる。使ってみたがHVR-A1JからZ1Jでは十分に使えるものだった。また75mmΦのワンを我慢すれば1/2吋クラスのカムコーダーでも使用可能だ。
 上の写真はVision3や10で使うウルトラベビー三脚として最近加工、つまり改造したものだ。元はマンフロットの#250Bという2段式の三脚だ。6角レンチひとつで完全にバラバラに出来る構造になっていて、最近のマンフロット#525などの接着剤を使用したものよりも改造しやすい。長い脚部をパイプカッターで切断し、勘合部に小さな孔を開けるだけである。本体のワンは100mmΦになっていてVision3の場合は75mmアダプターを1枚挿入するだけである。開脚部にロック機構がありバーススプレッダーが無くても脚が広がってしまうことはない。ただし安定性を増すためにロック機構の部品を若干削ってオリジナルよりも15度ほど広い角度で止まるようにしている。
 ロック機構を解除すると下の写真のように大きく脚が広がり、スプレッダーの変わりに舞台用のロープを使っている。
 ミラーから「タタミ三脚」という製品が出ているが、私の三脚は使用状況から「桟敷三脚」と名付けた。小劇場の桟敷席で使うためである。他にも様々な用途はあるが「桟敷三脚」という名前はとても気に入っている。もちろん名前だけではなく、6角レンチひとつで完全にバラバラに出来る機構のおかげで市販されてもおかしくない出来栄えにも満足している。来年は様々な現場で活躍してくれる予定だ。
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2007年12月08日(土)
アツデンのFMX-42レポート
 アツデンFMX-42のレポートである。
 価格は安いが、音質等に問題はない。操作性もまずまずだ。風貌は価格以上だと思う。田村のTS-4000SもしくはAMX4Sをふた周りほど小さくした黒いボディーはけっこう精悍なイメージだ。仕上げも美しい。
 送られてきたデモ機に同梱されていた付属の専用ケースもなかなか良く出来ているが、ケースに収めるとファントム電源のON/OFFがやりづらい。また、ボリューム操作ではフリクションが少ないようである。もう少しボリュームに手ごたえが欲しいと感じた。ボリュームの耐久性については使い込まなければ判らないので今回は保留である。
 リミッターはチャンネル毎に装備されていて、ENGなどでは便利だが、チャンネルリンクが無いようで、音楽物のステレオ収録では定位が崩れるので使用は控えたい。というか、音楽物の収録ではリミッターは効かせるべきではないだろう。
 実際の運用で気になったのは入力レベルである。+4dBは標準だが、-30dBと-50dBというのは物足りない。トリムが無いので、感度の低いマイクでオフの場合は-60〜-70dBは欲しいとことだ。希望としては+4dB/-10dBまたは-20dB、そして-60dB〜-70dBの3段階で、出来れば20dBのパッドを装備してもらいたい。
 出力レベルについても+4dBはよいが、-36dBは中途半端な気がする。-36dBはワイヤレスマイクに入れるには高すぎるし、民生器のRCAには低すぎる、民生器用に-10dB及びマイク用の-60dBを選べるようにしていただきたい。しかし現状で仕事が出来ないわけではない。実用的には価格以上の性能は備えていて、CPの高さはダントツである。

 わたしがこのリーズナブルなミキサーに注目した理由はENGではなくEFPでの運用である。最近HDCAMやDVCAMで4ch録音の機会が増え、手ごろな8in4outのロケ用ミキサーを探していたからである。DC駆動が可能で小型軽量な8in4outのものとしてこれまでタムラのTS-4000Sを2台スタックで使用してきた。下の写真はハイビジョン中継車の内部に組んだ時のものである。

 これをFMX-42を2台スタックで使用できればかなりコンパクトになる。さらにコストは2台で25万程度と格安である。
 写真のように2台積んだ場合でも高さは10.5cmと低く、幅は22cmで奥行きも15cm程度である。来春にはソニーから4ch録音可能はHDVカムコーダーも発売され、8in4outのロケ用ミキサーの需要は増えるだろう。アツデンの新製品FMX-42は狙い目ではないだろうか。
 余談だが、アツデン及びゼネラル通商はENGミキサーの呼称を商標の関係から変更した。その結果生まれてきたSound Devicesのロケーションミキサーという呼び方は素晴らしい。ENGミキサーやEFPミキサーというよりも自然で誰にでも解りやすい言い方である。
2007年12月8日 | 記事へ | コメント(0) |
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2007年12月04日(火)
業務用映像機器
 「業務用映像機器」で多数の検索があった。しかしトップではない。100件目までよく見ていただいた。検索されていたページは会社のEquipmentsである。

 業務用映像機器だが、我々が使う映像機器といえば殆どが放送用か業務用に位置づけられるものと思われがちだが、決して全てが業務用ではない。時に家庭用のDVカムコーダーなども使用する。下の写真はトラクターの走行状況を撮影するオンボードキャメラとして使用したキヤノンのiVISである。
 家庭用であっても用途によっては十分仕事用になる。またビデオジャーナリスト達も殆どは家庭用のDVを使用している。そしてハイビジョン中心になった番組でも出先の取材ではVX-2000等をディレクターが使用することがけっこうある。こうなれば家庭用ハイアマチュアクラスのVX-2000であっても放送用ということになる。ただしシステムを組む場合はそうは行かない。やはり業務用以上の機器が必要になる。

 上の写真にあるものは殆ど業務用で構成している。PCはWindows2000かXPで殆どの人が家庭で使用しているものと同じものだ。しいていえばHomeEditionではなくProfessionalになっているくらいだ。現場用の映像ソフトはバンドルされていたStormEditとPremiereである。家庭用にバンドルされているPremiereはすでにPro2.0かCSであり、クライアントに「まだ6なんですか?」と笑われたりする。「現場では機能より軽さと安定性のほうが重要なんです。」と説明するが「新しい方がいいでしょう・・・・?」という感じだ。PCに搭載している石はCore2Duoどころか、PentiumDさえ載せていない。ただのPentium4である。要は仕事に合ったスペックであれば安定性が最優先されるのが現場であり、業務用映像機器ということになる。ただしキャメラのレンズだけはそうは行かない。やはり解像度の高さで放送用がベストだ。ただし予算に合わせて業務用クラスも多用する。つまりリーズナブルな価格を生み出すための手法である。
2007年12月4日 | 記事へ | コメント(0) |
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2007年12月02日(日)
リーズナブルなメーカー「アツデン」が作るENGミキサー
 私のブログを「リーズナブル」で検索すると3件が抽出される。
 最近人気が出てきたメーカーにAZDENという音響機器メーカーがある。沿革によると1952年8月16日に佐藤孝平によって日本圧電気株式会社が設立され、資本金50万円、本社工場は杉並区天沼ということだ。私が生まれる2年前である。さらに創業者の佐藤孝平氏は1961年に「発明考案功績により東京都知事賞受賞 当社提供のラジオ報道番組『目撃者の記録』がラジオ放送コンクールにおいて最優秀賞を受賞」の後、1969年には「佐藤孝平社長、紫綬褒章受賞(ロッシエル塩圧電素子に関する一連の発明による功績) 輸出貢献企業として通産省より表彰 磁気ヘッド開発完成」というまさに技術会社である。
 当時から日本圧電の製品はリーズナブルで、私が無線従事者として衛星通信やSSTVに取り組んでいた時期(1970〜80年頃)に様々な製品に助けられた記憶がある。その日本圧電が再び私の会社にとって有用な製品を出してきた。ENG用のワイヤレスマイクとENG取材で使用する小型音声ミキサーである。ワイヤレスマイクは松下や池上の一体型カムコーダーに内蔵できるA/B帯カバーのものでも税込み131,250円という設定だ。またVマウントに取り付け可能なB帯専用では税込み109,200円と破格である。送信機とセットで購入しても約15万円ほどだ。普段私の会社で使用している松下のRAMSAは送受セットで約100万である。いかにAZDENの製品が安いかがわかるだろう。
 そして今最も注目しているのがENGミキサーだ。
 製品名はFMX-42である。オープン価格ということだがシステムファイブでは\129,885(税込) となっている。

 現在私の会社が使っているシグマのSS-302(3in2out)が約30万ほどしたが、その性能と機能、信頼性はさすがに放送業界のスタンダードにふさわしいものだ。また新製品のKS-342は税別48万もするが、
 ◇MSマイク収録に対応。エンコーダーを搭載し、モニター用デコーダーも装備。
 ◇AES/EBUデジタル出力装備。20ビット分解能。各サンプリング周波数に対応。
 ◇各チャンネルフェーダーを通らない「ダイレクトアウト」が可能。etc.
と流石に内容が充実している。以前にこのブログで書いたように高価なものには高価な理由と意味がある。
「放送用の音声ミキサーは高い。もっと安くならないのか?と思う。しかしその回路構成や小型ボディーに凝縮された機能、そして出荷台数を考えると当然かもしれない。製造メーカーは製品の販売コストに製造コストだけではなく、サービスコスト、開発コストも含まなければならないのである。放送用キャメラ、レンズ、三脚なども同様に民生モデルとはかけ離れたコストがかかっている。それらは全て高性能、高信頼性、高耐久性のためなのである。そして映像のデジタル化が進むとことで音声ミキサーもAES/EBUのデジタル音声出力が必要になってきた。」

 比べること自体ナンセンスな話だが、アツデンのミキサーは低価格である。確かにデザインという点ではFMX-42がお世辞にも他社よりも優れているとはいえないと思うが、シンプルな操作性はSHUREのミキサーSound Devices社のミキサーに通ずるところがあり好感が持てる。またSHUREのミキサーを設計したタムラのミキサーのシンプルさにも通じるところがある。ちなみにシステムファイブの購入者のレビューでは「数日前に御社にて購入し、チェックしたところ完璧です!!この価格でこれだけの機能が満載で有難いです。はっきりいって音質面も含めてシグマやプロテックの4chミキサーと同等以上の製品です。リミッターの効きもいいし、付属品のソフトケースも使いやすく不満がなかったです。」ということだ。
 いかにしてAZDENが販売台数も限られるENGミキサーをこれほどまでに安い価格で提供できるかは判らないが、これが技術会社が生み出すリーズナブルな価格なのであろう。もちろん入出力ともバランスで、各入力には独立してファントム電源を供給できることは当然である。
 ちなみに私の僅かな電子回路の設計経験から見ると、アナログ音声回路では回路設計の技術だけではなく、基板のデザインや仕様部品、回路の引き回し、誘電防止など、様々な経験が高SN比を生み出し、それがダイナミックレンジに反映する。この低価格な4CHミキサーが本当にリーズナブルな価格の製品かどうか、休み明けにもデモをお願いしてみたいと思う。アツデンのポータブルミキサーが納得できる価格である以上に、納得できる性能かどうかを検証しなければならない。もちろんフィールド用ミキサーとしての堅牢性、操作性も同様だ。
 明日は12/4〜5に開催される「ビジネスマッチング博」で行う中継の仕込みだ。現場に持ち込むミキサーはTAMURA TS-4000Sだ。そしてワイヤレスマイクはRAMSAである。
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 追記:デモをお願いしたところ快く貸し出していただける事になった。今週はは中継やvロケの現場があるので無理だが、来週中にはファーストインプレッションを書けるだろう。
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 アツデンのミキサーが到着した。インプレッションは未だだが、とりあえず外観のみフォトアルバムにアップした。(2007.12.5)

 このミキサーについては「ビデオアルファ2007/11月号」の新製品レビューで「アツデン4chポータブルフィールドミクサーFMX-42」として高木 創さんがレビューを書かれている。
2007年12月2日 | 記事へ | コメント(0) |
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2007年11月15日(木)
NEW HDVシリーズ発表 ! 危うしXDCAMEX
 出先からの更新である。「NEW HDVシリーズ発表 ! 危うしXDCAMEX」というと大げさだが、大げさに言っても良いと思う。ソニーのテープ記録による業務用HDVハイビジョンカムコーダーのはHVR-Z1JとHVR-V1Jを最後にしてXDCAMEXというメモリー記録に方向転換したかに見えたが、ここにきて急にHDV VCRを搭載したテープ記録方式のカムコーダー2機種とHDV VCRの新機種が発表された。

 これはXDCAMEXとそっくりなHVR-Z7Jだ。撮像素子のCMOSはXDCAMEXの1/2吋よりも一回り小さな1/3吋3CMOSだが、XDCAMEXでは不可能なレンズ交換が可能になっている。レンズはカールツァイス製標準とショートズームの他、既存の1/3吋レンズやアダプターによって1/2吋用や2/3吋用、そして一眼レフのαマウントのレンズが使用出来る。またZ1Jではサポートされていなかった24Pや30Pでの収録にも対応している。そしてV1Jで不評だったオーバークランクも少し画質が上がったらしいが、これは実物を見ないとなんともいえない。
詳しいことは11/14のプレスリリース「業務用HDVシリーズより レンズ交換が可能なカムコーダー2機種とプログレッシブ記録・再生に対応したレコーダー 登場」をご覧戴きたい。また、公式サイトでもすでに発表されている。写真はいつもお世話になっているシステムファイブから拝借したものである。各写真はクリックすると大きなサイズで見えるようにした。

 次が同時発表のHVR-S270Jだ。こちらも光学系は共通でZ7Jと同じレンズ交換式の1/3吋CMOSだが、ショルダータイプの筐体にはラージカセットが装填可能で、最大276分のHDV記録が可能だ。また、音声はこれまでの2CHにさらに2CH追加され4CHの音声トアックを持っている。そしてHD-SDI出力を内蔵しているため、小型HDスイッチャーを用いたイベント送出用などにも使用出来そうに思う。また、ブルーレイDVDが普及すればブライダル市場のHD化には大きな効果を発揮するだろう。

 さて、最後が新しいHDV VTRのHVR-M35Jだ。上記の機種が持つ24P、30Pをサポートし、ラージカセットに対応している。また音声も4CH対応でHD-SDIとタイムコード出力も装備している。つまりIEEE1394だけではなく、HD-SDI環境にも親和性が計られた規格となっている。

 発売は来年の2月。システムファイブではすでに予約開始したようだ。そして今月は20〜22日の3日間、幕張メッセでInterBEEが開催され、当然これらの機種を目当てに押し寄せるファンでごった返すことだろう。残念ながら私は21〜23のケーブルテレビショーの中継で大阪に居るが、うまくいけばビジネスフロアのソニーブースで直接手に触れることが出来るかもしれない。

 ソニーさん、やってくれますね!と言いたい。これでXDCAMEXの売れ行きが落ちることは確実だ。XDCAMEX危うしである。それでもユーザーの要望に応えてHDVの新機種を開発、発表してくれたソニーを賞賛したいと思うのは私だけではないだろう。
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2007年11月12日(月)
着ぐるみ 撮影現場
 「着ぐるみ 撮影現場」というキーワードで10件ものアクセスが有った。検索されていたページはFieldReportに掲載した「イオくん、ララちゃん」のキャラクタースタッフ教育用DVDを製作したときの記事だった。
 キャラクターの撮影では着ぐるみに入るスタッフとセリフをあてる声優で1セットになる。気ぐるみが2体の場合は基本は4名のキャストが必要になる。このときは歌のお姉さんが加わりキャストは総勢で5名。

 時録の音声はガイド用にのみ使い、後日入れ替える場合が多いが、このときはスケジュールがタイトで同録の音声で編集した。

 営業店舗で撮影を行ったため、撮影は朝6時開始。撮影終了は9時半である。

 最後の写真は先月「吉祥寺アニメワンダーランド」の続きの仕事となった「〜大鳥神社にぎわい・トライアングル・ぐる・グルめ〜練馬夕薬師」の時に撮ってもらった私のお宝写真である。この現場もFieldReportにアップしている。
2007年11月12日 | 記事へ | コメント(0) |
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2007年11月06日(火)
アウトバーストしたホームズ彗星
 先のブログに書いたように北八ヶ岳の麦草ヒュッテへ行って来た。
先月24日に突然アウトバーストしたホームズ彗星が見えるだろうと期待していたが、まさにグッドタイミングだった。麦草峠は快晴で月齢22.9、風も無くシンチレーションも皆無。最高のシーイングだった。双眼鏡では核の位置も良くわかった。これならビデオも写るだろうと、取材用に持っていったHVR-Z1Jを天空に向けた。ゲインアップしスローシャッターでCCDに光を蓄積すると下のように写った。

 収録はHDVハイビジョンで行い、ダウンコンバートした動画をWEBにアップした。数十秒の短いプログラムだが、特別な装置も無く撮れることが驚きだ。
http://www2.svs.ne.jp/rainweb/17P_Holmes/index.html
 現在も3等級の光度を保っているようで、天気が良くなれば大阪でも十分見える明るさだ。ホームズ彗星については国立天文台が緊急キャンペーンを行っている。 http://www.nao.ac.jp/phenomena/20071102/index.html 見えたという報告をするのも楽しいだろう。
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2007年10月14日(日)
ステディーカム バランス 調整
 「ステディーカム バランス 調整」での検索だった。
 ステディーカムとは、キャメラ用の防振装置(スタビライザー)のことで、昨日放送していた「踊る大捜査線」でも各所に用いられていた。映画撮影においてはステディーカムは必要不可欠なものとして定着している。だが、ステディーカムは高い。高すぎる。Steadicam Flyerシリーズでも130万〜300万、Steadicam Clipperシリーズでは500万〜700万、Steadicam Ultra2シリーズに至っては800万〜1100万という価格である。中にアマチュア向けのSteadicam Merlinが本体14万とMerlin用 アーム&ベスト34万で格安だが、やはり機構はそれなりである。他にもABCなどから様々なスタビライザーが出ていたりするが、スタビライザーにとって「バランス」は非常に重要で、時にテープの残量によってバランスが変化して再調整を余儀なくだれることもあるくらいだ。
 以前はステディーカムSKを使用し、ベーターカムを搭載していたが、ステディーカムSKがレンタルだたっために借りる度にバランス調整を余儀なくされた。時に1時間近く費やすこともあった。さらに毎日トレーニングをしてステディーカムをオペレートしているわけではないから、体力的にもきつく、また普段使用しない筋肉を使うために撮影後は極度の疲労のために一般撮影との併用は不可能に近かった。それでも若かったおかげで、歌手「金田たつえ」さんのロケでは通常撮影とベーターカムを搭載したステディーカムのオペレートを私自身が行った。今ではそんな無茶はやらないし、また出来ないと思う。
 ところが昨年、システムファイブの担当者とのやり取りのなかでグライドカム4000PROとスムースシューターの話が持ち上がった。ちょうどその頃は前年に導入したソニーのHVR-Z1Jの可能性追求に積極的で、様々な専用特機も開発中だった。早速その話に乗り、グライドカム4000PROとスムースシューターのテスト運用を行った。結果は自社保有という判断に至った。その時のレポートがシステムファイブのサイトにある。
 グライドカムを自社保有し、HVR-Z1Jに専用化したことで調整時間も皆無といえるほど短縮でき、非常に効率的な撮影が行えるようになった。キャメラが軽量化したためにトラクターの前に乗ってオペレートしたり、
 車椅子に乗ってスムーズなドリーショットも簡単になった。グライドカム&HVR-Z1Jは体力の消耗も少なく、長時間にわたって装着した後も違和感無く通常撮影が可能だ。

 検索にあった「ステディーカム バランス 調整」だが、スタビライザーにとって最も重要な事柄がいとも簡単に行えるというのは素晴らしい。ちなみに若いキャメラマンに「グライドカム+スムースシューターだと楽でしょう」と印象を聞くと「それは笹邊さんだからそうなんですよ。やっぱりキツイ」という答えが帰ってきた。だが実際に楽であり、体力も消耗しない。そこで考えてみると、それはステディーカムSKやEFPにベーターカムを搭載した経験がグライドカムを楽に感じさせているのかもしれない。同様にベーターカム一体型(BVP-70/BVV5)等を担いできた経験がHDCAMやDVCAM一体型を軽いと感じさせているのだと思う。確かに私はベーターカムを10年以上担いできた。

 他にも私の会社では小型ハイビジョンキャメラと特機を組み合わせた撮影方法を色々提案している。例えばミニジブを使用した現場や、レールドリーを使用した撮影などだ。


 また必要に応じて長尺のJIMMY JIBなども用意する。もちろん予算次第だ。そして当然だが、通常撮影+グライドカムオペレーションの場合は通常ギャラでは行えない。キャメラマン人件費+オペレーション料ということになる。下は龍谷大学の修景事業のVPと同時進行したK塾のお天気フィラーのクレーン撮影。WISHの西社長のオペレートである。見事な軌跡を描かれていた。
2007年10月14日 | 記事へ | コメント(0) |
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2007年10月01日(月)
XDCAM EX/PMW-EX1
 最近業界でXDCAM EXが話題になっている。なかなか精悍な面構えである。製品名はPMW-EX1希望小売価格 840,000円(税抜価格 800,000円)ということで、ココにPDFのカタログがある。

 メーカーによると

フルHD 1/2型3CMOSセンサー搭載
ハンディタイプカムコーダーとして初めて1/2型フルHD(有効画素1920×1080ドット)3CMOSセンサーを搭載。CMOSには、弊社製・新開発“Exmor TM”CMOSイメージセンサーを採用しており、大型撮像素子により、高解像度、高感度、広いダイナミックレンジなど、ショルダーカムコーダーと同等クラスの描写力を実現しました。
SxS TM メモリーカードに長時間のHD記録
記録方式には高画質と長時間記録を両立するMPEG-HD圧縮方式、音声記録にはリニアPCMを採用。記録モードはHQモードとSPモードの二つのモードを搭載。HQモード(35Mbps)では1920×1080ドットのフルHD記録を実現。加えて1280×720ドットの記録も選択でき、16GBのSxS TM メモリーカードに約50分間のHD記録が可能。SPモード(25Mbps)では1440×1080ドットで約70分のHD記録が可能で、1枚のメモリーカードで、長時間記録を実現しました。
マルチフレームレート対応
シネマなどでよく使用される23.98p記録やさらに29.97p記録を搭載しました。これらは720pだけではなく1080pでもネイティブの記録が可能となっています。さらに59.94iと50iの切り替えも可能で、幅広いアプリケーションでの運用が可能となります。
スロー&クイックモーション
フィルムカメラの早回し(オーバークランク)撮影、遅回し(アンダークランク)撮影と同様のスロー&クイックモーション機能を搭載しました。720p時には60フレーム、1080p時には30フレームまでの間で、1フレーム刻みで可変可能。例えば720/23.98p記録時に撮像のフレームレートを60フレームに設定すると1/2.5倍速のスロー映像が記録可能です。
フジノン製光学14倍ズームレンズ装備
レンズにはフジノン製の光学14倍ズームレンズを採用しました。広角側の焦点距離は35mm換算で31.4mmを実現し、広い画角での撮影にも適しています。また、フォーカス/ズーム/アイリスの操作リングはショルダーカムコーダーと同様、レンズ筒上に独立して配置され、プロフェッショナルの操作性を継承しています。さらに、前後にスライドする新機構のフォーカスリングを採用し、オートフォーカス機能を装備するほか、フォーカス目盛りを装備したフルマニュアルフォーカスモードに切り替えることも可能です。


 ということだ。いたれりつくせりの仕様で、価格も80万、おそらく実勢価格は65万程度であろう。もちろん購入リストに加えるべきところだが・・・
どうしても気になることがある。記録用メモリーカードの価格だ。
“SxS PRO TM”(メモリーカード)『SBP-16』(容量:16GB)
希望小売価格:オープン価格
発売予定日:2007年11月下旬

ということで今のところ何とも言えないが、WEBを検索すると
店頭予想価格は8GBが6万円前後、16GBが11万円前後の見込み。なお、PMW-EX1には8GBのSxS PROメモリーカードが1枚付属する。
 ちなみにこの16GBメモリーで50分のHD記録が可能だ。もし16GBが11万であれば、40分当たりの記録コストは11万×4/5=8万8千となる。何故40分で考えるかといえば、HDCAMの記録時間がスモールカセットで40分だからだ。ではHDCAMの記録コストは、といえば40分テープの実売価格は1本約4000円。つまりHDCAMの場合はPMW-EX1の1/20ということになる。←ハードディスク等のストレージに落としてフォーマットすればよいと言われるかもしれないが、ロケ現場ではそんなことをしている暇は無い。で、実際にロケにいく場合は概ね1箱(10本)を用意する。それでも16GBの半額以下だ。多めに2箱(20本)用意してもまだHDCAMの方が安い。再利用できるメモリーではあるが、HDCAMテープ10本に相当する枚数なら400分を50分で割った枚数=8枚の16GBメモリーを持っていかなければならない。これだけで88万円ということになる。20本相当なら当然176万円だ。テープとは違って何十万回と再利用できるメモリーであってもメディアへの初期投資が大きすぎるのではないだろうか。
※検証した訳ではないため、未確認情報として記しておこう。
SxS TM メモリーカードだが、これはExpressCard規格に準拠ということである。とすれば、Transcend Informationグループ100%出資の日本法人トランセンドジャパン株式会社ExpressCard/34 Solid State Diskが使えないだろうか。これが使えればオンラインショップで32GBが¥69,700 (税込)で手に入る。16GBなら¥39,700 (税込)だ。実機にて検証する価値はあるだろう・・・と期待してしまうのだが、転送速度が余りにも違いすぎる。ミニバイクとF1ほどの差だ。およそ3倍の価格で6倍以上速い転送速度を持つSxS TM はもの凄いメモリーカードだということである。

※読み出し速度を比較
 SxS PRO: 読み出し速度 100MB/s
 トランセンドジャパン: Read up to 18MB/s, Write up to 8MB/s

 メモリーカードの価格はさておき、では実際にこのPMW-EX1にどんな仕事をさせればよいのだろうか?
 オーバークランクによるスロー&クイックモーション?
 マルチフレームレートによるキネコ素材?
 それならシネアルタやバリカムがあるではないか。ということだ。まさかこのPMW-EX1で1日の撮影費で20〜30万は取れないだろう。さらにメモリーに対する不安も否めない。CCDの画素抜けの原因と考えられる宇宙線の影響だ。高密度化したメモリーのセルの元素数を考えると高エネルギーの素粒子によってカタログツリーが破壊されるということも考えるべきだろう。まさかこの薄いメモリーカードが宇宙線対策を施してあるとは思えない。デジカメのメモリーカードのエラーで痛い目にあったことのある人ならやはり不安を拭い去ることはできない。
 とすれば、HD-SDI出力を用いてマルチキャメラ収録だろうか。最近プロテックなど数社から小型カムコーダーをEFP運用するためのドック(正式な名称ではない)が売り出されていて、プログラムタリーやリターンビデオにも対応できるそうだ。たしかにソニーはこういった周辺機器を現在発売していない。それよりも展示会のソニーブースにそういったサードパーティーの製品を使った状態で展示しているくらいだ。担当者曰く「こういう周辺機器をソニーが作るよりも開発から製品化まですべてお願いした方がコストも安くなります」だそうだ。たしかにそうだろう。現状の業務用ユーザーの数×今すぐHD化を望む業務用ユーザー数を考えると大手メーカーのラインには流せない。
 そこで考えることは業務用ユーザーの本格的なHD化の時期である。当然2011年のアナログ地上波=SDの停波時期までであることはほぼ決まっている。だがこれが来年か再来年か、はたまた停波寸前になるかは判らない。一般家庭にHD-DVDやBDが普及しまくるまでは放送や企業のイベント以外ではHD納品は難しいだろう。ただし、ディスクとは違った画期的なメディアが生まれれば話は変わる。もしかすると円盤以外のメディア(チップ)や、サーバーが普及するかもしれない。HD化については半年先も予測できないほど混沌としているのが現状である。

 さて、ここで私が望むHD製品の話に入る。
 現在ソニーが出している標準スタイルの放送用HDがHDCAMであり、業務用HDはXDCAM-HDである。HDVも業務用の部類に入るが今回は除外する。この業務用HDカムコーダー(XDCAM HD)に使用するメディアはBDと同じ種類の光磁気ディスクで、時間当たりのコストはDVCAMとさほど変わりは無い。だが、やはり回転ディスクという機構からメカが存在し、半導体メモリーのXDCAM-EXやP2CAMに比べると耐衝撃性に不安がある。それに完全なEFP仕様は無い。やはりこれもプロテックの製品に依存しなければプログラムタリーやリターンビデオを使うことが出来ない。
 そこで考えることはDXC-D55シリーズのHD化である。現在業務用SDスタンドアローンキャメラの最高峰として位置付けられるD55はトライアキシャルや光ファイバーなどにも対応している。しかし今後は業務用としてのHDスタンドアローンキャメラが文教用やCATV用として必ず必要になるはずだ。それに対応するものがDXC-D55のHDモデルHXC-55シリーズ←(私が勝手に言っているだけで、ソニーの思惑は判らない)である。もちろんCCUや光ファイバー、HD-SDIスイッチャーも含んだトータルシステムでの業務用HDである。おそらく収録据置機によるXDCAM HDディスク記録であろう。出来れば松下のP2CAM HPX-555と同様にキャメラ本体に16GBのSxSメモリーカードを4枚程度搭載できると嬉しいところだ。こういった製品が出てくるまではHD/EFPは東通やエキスプレス、コールツ、テークワンといった中継会社に協力していただき、自社機材によるHD収録はENGに限定してHDVやHDCAM一体型カムコーダーで我慢しておこう。そしてマルチキャメラEFPはSDで行うことが我々のみならず、顧客にとっても得策ではないだろうか。顧客をリードするのは良いが、先走ってしまえば誰もついて来ないのである。もちろん予算さえ計上していただければ私の会社も放送用HDキャメラや中継車を用いたハイビジョン収録を行っている。また近い将来、業務用HD/EFPシステムが発売される頃には一般家庭のHD環境も整備されているであろうし、必然的に市場から業務用HDシステムの発売が求められる。
 以前ある展示会でS社の技術者と話した時、「今しばらくはSD機材の延命に努めてください。」と仰っていた。まさにその通りだ。SDで稼いで、まともな業務用HDシステムが発売されれば一気に進む!当然4CAM/EFP/アイソレーション対応のフルシステムである。今ならHDC-1600/HDW-1800orHDW-M2000等で総額は億に達してしまう。とても業務用としては採算が取れない。業務用なら4CAM/EFPでHXC&XDCAMHDで総額2〜3000万程度が妥当なところだ。趣味で機材は購入できないのである。ここで改めてSDの延命を力強く語ってくれたS社の社員に心から感謝を申し上げる。

 PMW-EX1について否定的な意見でソニーには申し訳ないが、PMW-EX1に最も適した用途は水中撮影ではないだろうか。このキャメラをハウジングに入れればHDCAMに遜色ない画質で、もちろんHDVよりも高精細な水中映像が期待できる。メモリー1枚でフルHD50分ならタンク1本でお釣りがくる。3本も潜れば死んでしまう。16GBメモリー2〜3枚あれば十分だし、1枚でも休息中に十分ストレージに落とせるだろう。HVR-Z1Jのハウジングが市場から消えた今、強く希望するものはPMW-EX1用の水中ハウジングである。

(文責:株式会社千里ビデオサービス代表取締役笹邊幸人)
2007年10月1日 | 記事へ | コメント(5) |
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AHEADCAM
 「AHEADCAM」で韓国の検索エンジンからアクセスされていた。検索結果にはキャメラマンのブログがあり、私のサイトを翻訳して掲載していた。
 ブログにはOBSとあるが、日本のOBSとは関係ない。KBSKBSBBCBBCのようなものだ。ちなみにここが大分放送OBSのサイトでこちらが韓国のOBSである。
 さて、AHEADCAMとはなんぞやということだが、これは私が開発?した小型カムコーダー用のスタビライザーの名称である。
 今のところ製品化するつもりは無く、もっぱら自社の撮影現場での使用に限っている。スタビライザーの重要な構成部品の名称AHEADにCAMを足してアヘッドカムとしただけである。
 そして製品開発のチーム名を千里ビデオサービスのSVSに合わせてSpecial Video Supportとした。アヘッドカムについては同業者から製作依頼とも言える問い合わせもあるが、グラインダーと旋盤さえあれば(無くても鑢やドリルで代用も可)誰にで簡単に作ることが出来るものである。Special Video Supportはあくまで自社の機材開発を基本に考えている←そんな大げさなものではない。
 ただ、自分が付けた製品名をキーワードにして海外から検索されるということは少し嬉しい気がする。千里ビデオサービスも国際的になったものだ・・・と。
2007年10月1日 | 記事へ | コメント(0) |
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2007年07月06日(金)
ステディ レンタル 機材
 「ステディ レンタル 機材」だ。このキーワードで「手軽な予算でステディーショットを実現するグライドカム 4000 Pro+スムースシューターの紹介:映像制作:SVS:株式会社千里ビデオサービス(撮影技術:大阪)」という長い名前のページが挙がっていた。いまやステディーカムやグライドカムは移動ショットの定番になってきた。

 残念ながら私の会社はレンタル会社ではないのでグライドカムのみのレンタルは請けていない。あくまで撮影であり、HVR-Z1Jに最適化した状態で保有している。
 大阪でステディーカムをレンタルしている会社は「イングス」と「はんぷ」がある。イングスにはステディカムEFPがあり、はんぷにはアルテミスDV Pro/VIDEO SK/PRO VIDがある。イングスは個人向けのレンタルは行っていないが、はんぷは登録すれば個人でも借りることが出来るはずだ。検索された方の参考になればと思う。ちなみに東京では大概のレンタル会社はステディーカムやグライドカムを保有しているし、DVクラスのものであれば放送機器専門のところでなくても貸してくれるようだ。さすが首都東京だ。もし私の会社が大阪ではなく東京にあればグライドカムも購入する必要はなかっただろう。東京を羨ましく思う大阪人は私だけではないと思う。
2007年7月6日 | 記事へ | コメント(0) |
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2007年06月10日(日)
LANCでアイリスフォロー
 「LANCでアイリスフォロー」である。LANCとはソニーが開発したVCRやキャメラを制御する信号のことで、ソニー、キヤノンのカムコーダーやソニーの民生用VCRにLANC端子として備わっている。今回のキーワード「LANCでアイリスフォロー」というのは、LANCを使ったリモコンで絞りのコントロールをしたいということのようだ。検索されていたページでもWAKOのLANCコントローラーでズームやRECトリガー、フォーカス制御、キャラクターのON/OFFを行えるリモートコマンダーを紹介している。
 また、先日AHEADCAM(アヘッドカム)というスタビライザーを製作したが、ここでもリーベックのLANCリモートを使用してRECトリガーとズームコントロールを行っている。

しかしいずれの場合もアイリスの制御は出来ない。理由はLANCにアイリス制御のコマンドがないからである。下記のサイトにLANCのコマンド一覧がある。
http://www.boehmel.de/lanc.htm
様々なコマンドが16進のHEXコマンドで表記されているが、残念ながらIRISという文字列は存在しない。露出に関連したものとして0バイトのサブコマンドに51=Backlight、53=Exposureがある程度だ。つまりLANCの規格が変わらなければアイリスの制御は追加されないということだろう。
 しかしグライドカムやアヘッドカムを使用する場合はアイリスのコントロールは必要だ。現在HDVカムコーダーで考えられるアイリス制御の方法としてCANONのコンソールを用いたIEEE1394経由での制御だ。IEEE1394(DV端子)でどれだけのことが出来るかわからないが、キヤノンのHDVキャメラなら専用のリモートコントローラーを使ってアイリスの制御は可能になる。だが他メーカーのキャメラにDVコントローラーで制御信号を送ってもキャメラ側がそのコマンドに対応していなければならない。HVR-Z1Jの場合も期待できない。
 ではどんな方法でCCUを持たない小型HDVカムコーダーのアイリスを制御すれば良いのだろうか。残された方法は電子制御ではなく機械制御である。サーボモーターを使ってアイリス調整ダイヤルを回す方法だ。現在そのための回転機構を物色中だが、ほぼ最適なサーボモーターと減速機構、制御系が見つかった。そう遠くない時期にホームページ上で公開できるだろう。必要は発明の母という言葉を思い出す。
2007年6月10日 | 記事へ | コメント(5) |
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都道府県:関西・大阪府
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(株)千里ビデオサービス
代表取締役&
北八ヶ岳麦草ヒュッテHPの管理人です。よろしくお願いします。
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